便潜血検査に「ピロリ菌検査」を加える価値|池田市の内科・消化器内科(内視鏡)・肛門外科|たむら内科・消化器内視鏡クリニック

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便潜血検査に「ピロリ菌検査」を加える価値

便潜血検査に「ピロリ菌検査」を加える価値|池田市の内科・消化器内科(内視鏡)・肛門外科|たむら内科・消化器内視鏡クリニック

2026年9月16日

胃がんの主な原因として知られるヘリコバクター・ピロリ菌は除菌によって胃がんリスクを下げられることは多くの研究で示されてきましたが、国民全体を対象に検査と除菌を行うことが、医療経済の面でも本当に見合うのかは、十分に明らかではありませんでした。

この研究では、大腸がん検診で使われる便潜血検査(FIT)に、ピロリ菌の便中抗原検査を一度だけ追加する「同時検査」が、便潜血検査だけの場合と比べて、予防医学と費用面の両方で有利かどうかが検討されました1)

この研究のポイント

  • 対象は、台湾の住民をもとにした大規模な臨床試験データです。
  • 便潜血検査だけを行う場合と便潜血検査にピロリ菌便中抗原検査を追加する場合を比較しました。
  • 30年間の長期的な予防医学の成果と医療費を、マルコフモデルという医療経済評価の手法で推計しました。
  • 同時検査の実施は、胃がん死亡を減らし、質調整生存年(QALY)を増やし、台湾では医療費も節約できる可能性が示唆されました。

便潜血検査にピロリ菌検査を加えるという発想

便潜血検査は、大腸がん検診として広く使われている検査です。一方、ピロリ菌の便中抗原検査も、便を用いて感染の有無を調べることができます。つまり、同じ便検体を活用して、大腸がんと胃がんのリスクに同時にアプローチできるという考えです。

台湾では大腸がん検診の基盤がすでに整っており、そこにピロリ菌検査を組み込む形で研究が行われました。

同時検査は「効果が高く、費用も抑制できる」可能性

本研究では、便潜血検査だけと比べて、ピロリ菌検査を追加した同時検査は、長期的にはより多くの予防医学の利益をもたらし、医療費を抑えられる可能性があると報告されました。具体的には、同時検査により胃がん死亡は便潜血検査単独と比べて約13.5%減少すると推計されました。また、健康上の利益を医療費価値に換算した場合、検査と治療に要した費用を上回るベネフィットが得られ、1ドルの検査投資あたり約5ドルの社会的価値が返ってくると見積もられました。

費用対効果を左右するのはピロリ菌の感染率

この研究で特に重要だったのは、ピロリ菌感染率です。感染率が高い対象群では、除菌による胃がん予防効果も大きくなるため、費用対効果は高くなります。一方で、感染率が低い対象群では、同じ検査を実施しても得られる利益が小さくなります。米国のように医療費が高い国の費用を用いた分析では、同時検査は台湾ほど明確な費用削減にはなりませんでした。しかしながら、ピロリ菌感染率が一定以上ある場合、費用対効果の高い戦略であると考えられます。

日本でも示唆のある結果

日本でもピロリ菌感染と胃がんの関係はよく知られており、除菌治療は胃がん予防の重要な柱の一つです。今回の研究は、既存の大腸がん検診にピロリ菌検査を組み込むことで、胃がん予防と大腸がん検診を効率的に結びつけられる可能性を示しています。ただし、すべての国・地域で同じ効果が期待できるわけではありません。ピロリ菌感染率、胃がんと大腸がんの発生状況、検診制度の整備状況、除菌治療の成功率、抗菌薬耐性の問題などを考慮して、国・地域ごとに最適な方法を検討する必要があります。

まとめ

本研究は、便潜血検査にピロリ菌便中抗原検査を加えることで、胃がん予防を大腸がん検診の枠組みに組み込める可能性を示しました。台湾では、同時検査は健康利益のみならず、医療費の削減にもつながると結論付けられました。

高齢化が進み、限られた医療資源をどう活用するかが問われる中で、既存の検診制度を活かした「一石二鳥」の予防戦略は、今後のがん対策を考える上で日本でも重要な選択肢になり得ます。

皆さんへのメッセージ

当院では、大腸がん検診としての便潜血検査をはじめ、大腸内視鏡検査を受け付けています。大腸内視鏡検査は土曜日も含め、診察日すべてで受けることが可能です。鎮静剤を使った安心安全で緊張の無い検査を実施しており、日帰りで大腸ポリープ切除も可能です。池田市をはじめとして、箕面市、豊中市、豊能郡、川西市と各所からご来院いただいています。院長は、日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医かつ指導医ですので、ご安心ください。

些細なことでも大丈夫ですので、お気軽にお問い合わせください。

  1. 「Cost-Effectiveness of Fecal ImmunochemicalTestingAlonevsCo-Testing WithHelicobacter pylori Stool Antigen」

  Lee YC, et al. JAMA.2026;336(1):35-46. doi:10.1001/jama.2026.6908

この記事を監修した医師

たむら内科・消化器内視鏡クリニック院長

田村 耕一

和歌山県立医科大学医学部卒業。同大学附属病院をはじめ、関連基幹病院にて勤務し、消化器外科手術や消化器内視鏡検査、抗がん剤治療などに精通している。また、筆頭著者として多数の英語論文の執筆歴があり、消化器がんの早期診断と治療を含めた啓発活動にも重要性を見出だしている。2024年11月より大阪府池田市でたむら内科・消化器内視鏡クリニック院長として北摂を中心とした地域医療と内視鏡検査の普及にも注力している。

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