2026年7月19日
大腸がん検診では、「便潜血検査」や「大腸内視鏡検査」がよく使われます。大腸内視鏡検査は、大腸の中をカメラで直接見る検査です。ポリープが見つかった場合、その場で切除することもできることから、将来の大腸がんの予防にもつながります。
ここでは、海外で行われた大規模な研究1)をもとに、「大腸内視鏡検査で何が分かり、何が有益なのか」を患者さん向けにできるだけやさしく整理します。

大腸内視鏡検査で大腸がんになる人は、少し減りました
この研究では、55〜64歳の人たちを長期間追跡しました。13年後、大腸内視鏡検査を受けた人は、大腸内視鏡検査を受けなかった人よりも、大腸がんになる人が少なくなっていました。ただし、差は大きいものではありませんでした。研究全体で見ると、大腸内視鏡検査を受けた人の大腸がんリスクは1.46%、受けなかった人は1.80%でした。つまり、大腸内視鏡検査には大腸がん発症の予防効果がありますが、「受ければ絶対に大腸がんにならない」というものではありません。
死亡数を減らすわけではありませんでした
大腸がんで亡くなった人は、大腸内視鏡検査を受けた人で0.41%、受けなかった人で0.47%でした。数字としては少ない結果でしたが、医学研究としては有意差はありませんでした。理由の一つとして、大腸がんの治療が以前より大幅に進歩していることが考えられます。手術や薬物療法などの集学的治療が進み、大腸がんになっても治癒する人が増えてきています。
大腸内視鏡検査の恩恵が受けられやすい部位があります
大腸の中でも、肛門に近い直腸やS状結腸では、大腸内視鏡検査によるがん予防効果が比較的はっきりしていました。一方で、大腸の奥のほうでは、効果はそれほど明確ではありませんでした。また、男性や60歳以上の人では、予防効果がややみえやすい結果でした。ただし、これは「女性や若い人には不要」という意味ではありません。検診の必要性は、家族歴や過去のポリープの有無、持病を含めた既往歴などによって変わります。
検査を受けるかどうかは、相談して決めましょう
この研究では、大腸内視鏡検査を勧められた人のうち、実際に検査を受けたのは約42%でした。検査を受けた人と受けなかった人だけで考えると、大腸がんを予防する効果はより大きくなる可能性があります。
一方で、大腸内視鏡検査には準備が必要です。下剤を飲む、検査時間を確保する、ごくまれに出血や穿孔などの合併症が起こるなどの問題もあります。だからこそ、大腸内視鏡検査のメリットとデメリットをよく理解したうえで選ぶことが大切です。
この研究から分かること
大腸内視鏡検査は、大腸がんを完全に防ぐ検査ではありません。しかし、ポリープを見つけて取り除くことで、将来の大腸がん発症のリスクを減らせる可能性があります。
一方で、この研究では、大腸がんで亡くなる人をはっきり減らす効果までは確認されませんでした。検診の目的を「がんを早く見つける」だけでなく、「自分の年齢や生活歴、症状を考慮して検査を選ぶ」と考えることが大切です。
患者さんへのメッセージ
大腸内視鏡検査には、大腸がんを減らす医療として効果はあります。ただし、すべての人に同じように大きな効果があるわけではなく、検査を受けることへの負担もあります。大腸がん検診を受けるかどうか迷うときは、主治医に「自分は大腸内視鏡検査を受けたほうがよいですか」「便潜血検査でもよいですか」「どのくらいの間隔で検査すればよいですか」と相談してみましょう。大切なのは、怖がりすぎず、先延ばしにしすぎず、自分に合ったがん検診を選ぶことです。
当院での大腸がん検診
当院では、大腸がん検診としての便潜血検査をはじめ、大腸内視鏡検査を受け付けています。大腸内視鏡検査は土曜日も含め、診察日すべてで受けることが可能です。鎮静剤を使った安心安全で緊張の無い検査を実施しており、日帰りで大腸ポリープ切除も可能です。池田市をはじめとして、箕面市、豊中市、豊能郡、川西市と各所からご来院いただいています。院長は、日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医かつ指導医ですので、ご安心ください。
些細なことでも大丈夫ですので、お気軽にお問い合わせください。
- 「Long-term effects of colonoscopy screening on colorectal cancer incidence and mortality: a multicountry, population based randomised controlled trial」 Kaminski MF, et al. Lancet 2026; 407: 1787–95.
この記事を監修した医師

たむら内科・消化器内視鏡クリニック院長
田村 耕一
和歌山県立医科大学医学部卒業。同大学附属病院をはじめ、関連基幹病院にて勤務し、消化器外科手術や消化器内視鏡検査、抗がん剤治療などに精通している。また、筆頭著者として多数の英語論文の執筆歴があり、消化器がんの早期診断と治療を含めた啓発活動にも重要性を見出だしている。2024年11月より大阪府池田市でたむら内科・消化器内視鏡クリニック院長として北摂を中心とした地域医療と内視鏡検査の普及にも注力している。
