コレステロールの薬は、足腰の弱り予防にも役立つかもしれません|池田市の内科・消化器内科(内視鏡)・肛門外科|たむら内科・消化器内視鏡クリニック

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コレステロールの薬は、足腰の弱り予防にも役立つかもしれません

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2026年9月20日

米国の高齢者を調べた大きな研究からわかったこと

はじめに

年を重ねると、「疲れやすい」「歩くのが遅くなった」「外出が減った」など、体の力が少しずつ落ちてくることがあります。このような、健康と介護が必要な状態の中間にある状態を「フレイル」と呼びます。

今回の研究1)では、コレステロールを下げる薬である「スタチン」を飲み始めた高齢者で、フレイルになりにくいかどうかが調べられました。

どんな人を調べた研究?

対象は、米国で医療を受けていた67歳以上の退役軍人です。研究のはじめに、スタチンを使っていない人、そしてまだフレイルではない人が選ばれました。

調べた人数は約99万人で、そのうち約29万人が途中でスタチンを飲み始めました。平均で約5年間、その後の体の状態が追跡されました。

  • 対象:67歳以上の米国退役軍人
  • 人数:約99万人
  • スタチン開始者:約29万人
  • 平均追跡期間:約5年
  • 主な評価項目:新たにフレイルになるかどうか

結果はどうだった?

スタチンを飲み始めた人は、飲み始めなかった人に比べて、フレイルになりにくい傾向がありました。詳しく計算すると、フレイルになるリスクが約24%低いという結果でした。

また、すでに「少し体力が落ちてきたかな」という段階の人でも、同じようにフレイルになりにくい傾向が見られました。

なぜ関係があるの?

スタチンは、悪玉コレステロールを下げ、心筋梗塞や脳卒中を防ぐために使われる薬です。さらに、体の中の慢性的な炎症をおさえる働きもあると考えられています。

フレイルには、筋力の低下、歩く速さの低下、疲れやすさなどが関係します。血管の健康を保ち、炎症をおさえることが、心身の衰弱を緩やかにする可能性があります。ただし、この研究だけで「スタチンを飲めば必ずフレイルを防げる」とは言えません。

この研究で注意が必要な点

  • 調査対象の多くは米国の男性退役軍人でした。そのため、日本の患者さん全員に同じ結果が当てはまるとは限りません。
  • 薬の効果だけでなく、食事、運動、通院のしやすさ、生活習慣改善などが結果に影響している可能性があります。
  • フレイルの判定は医療データを使ったもので、統一したアセスメントや握力や歩く速さを一人ひとり直接測った研究ではありません。
  • この研究だけで、スタチンを新しく始めるべきか、中止すべきかを決めることはできません。

皆さんへのメッセージ

スタチンは、コレステロールや心臓・血管の病気のリスクを考えて使う薬です。今回の研究では、足腰の弱りや生活機能の低下を防ぐことにも関係するかもしれない、という可能性が示されました。

ただし、薬だけでフレイルを防ぐことはできません。毎日の歩行や筋力運動、たんぱく質を意識した食事、口の健康、外出や人との交流もとても大切です。スタチンを飲んでいる方、これから使うか迷っている方は、自己判断で中止したり開始したりせず、主治医に相談しましょう。

まとめ

今回の研究では、スタチンを飲み始めた高齢者で、フレイルになりにくい傾向がみられました。これは、コレステロールや血管の健康を整えることが、将来の元気な生活にもつながる可能性を示しています。治療については、年齢だけで決めるのではなく、既往症、生活の様子、薬の副作用、本人の希望をふまえて、医師と一緒に考えることが大切です。

  1. 「Statins and survival free of incident frailty among older US veterans」

Qazi S, et al. European Heart Journal (2026) 00, 1–10.

この記事を監修した医師

たむら内科・消化器内視鏡クリニック院長

田村 耕一

和歌山県立医科大学医学部卒業。同大学附属病院をはじめ、関連基幹病院にて勤務し、消化器外科手術や消化器内視鏡検査、抗がん剤治療などに精通している。また、筆頭著者として多数の英語論文の執筆歴があり、消化器がんの早期診断と治療を含めた啓発活動にも重要性を見出だしている。2024年11月より大阪府池田市でたむら内科・消化器内視鏡クリニック院長として北摂を中心とした地域医療と内視鏡検査の普及にも注力している。

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