日帰り手術
日帰り手術
当院では、大腸ポリープ切除、痔核に対するジオン注射、粉瘤(アテローム)を始めとする皮膚腫瘍の日帰り手術とCVポートと呼ばれる中心静脈から持続点滴を行うカテーテルの造設手術を行っています。
大腸は5層構造になっていて最も内側の粘膜にできたものを大腸ポリープといいます。多くは隆起しますが、平坦なものやキノコのように茎を持ったものもあります。組織構造より腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられ、さらに細分化されます。腫瘍性ポリープには良性の大腸腺腫と悪性化した大腸がんがあり、非腫瘍性ポリープには過形成性ポリープや炎症性ポリープ、過誤腫性ポリープがあります。非腫瘍性ポリープは加齢や炎症によるもので、大きいものを除いては特に治療を必要としませんが、腫瘍性ポリープは良性であっても大腸がんになる可能性があるため注意が必要です。欧米では「クリーンコロン」といってすべての腺腫を切除することが推奨されています※1。
大腸がんは、正常粘膜からがんとして発生するパターンと、腫瘍性ポリープ(大腸腺腫)ががん化するパターンがあります。多くは後者によるもので、ポリープのサイズが大きくなるほどがん化率が高まります。そのため発がんリスクのある大腸腺腫を良性の時点で早めに切除することが大切です。定期的な大腸カメラを受けることが、最も有効な大腸がん予防法といえます。健康診断の結果や年齢、気になる症状など思い当たる方はお気軽にお問い合わせください。
※1 Nishihara R et al. N Engl J Med 2013. 369:1095-1105
内視鏡治療の適応となるポリープは、一般的には「径6mm以上のポリープ」と「リンパ節転移の可能性がほとんどなく内視鏡を用いて一括で切除できるがん」とされます。ただし、径5mm以下の良性ポリープでも、平坦あるいは陥凹型、がんとの区別が難しいものも適応となります。がんやポリープを切除する内視鏡の術式には「ポリペクトミー」や「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」、「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」があります。
隆起したタイプのポリープに用いられます。根元の部分にスネアという金属性の輪をかけて締め付け、一気に鋭的に切除または高周波電流を流して切除します。
また、径10mmを超える隆起または平坦な状態で発生しているタイプのポリープには、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といった原則、入院治療が必要な治療があります。これらは必要な方には、当院では連携機関との調整を行います。
内痔核の治療は、内服薬や外用薬による保存的療法と手術療法がありますが、その中間の治療として硬化療法があります。当院では、それぞれの治療方法について丁寧に説明し、個々の症状や患者さんに合った最善の治療方法を提案いたします。
内痔核を切らずに患部に直接薬剤を注射して治療する方法です。この注射液は硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸(ALTA:アルタ)という有効成分が含まれており、この作用によって痔核の出血、脱出といった症状を改善します。具体的には、血流遮断作用による止血と痔核の縮小、痔核を炎症・線維化させることで硬化・退縮効果があります。ALTA療法は手術以外の有効な治療法がなかった痔核に対する画期的な治療法です。注射剤には局所麻酔薬も配合されていて術後の痛みや出血は極めて少なく、日帰り手術で通常生活への復帰が期待できます。患者さんにとって負担の少ないALTA療法ですが、正しく注射をしないと合併症として直腸狭窄や直腸潰瘍、周辺臓器損傷を来たす可能性があります。痔核周囲を4カ所に区別し、適量ずつ注射する4段階注射法という特殊な注射手技が必要となり、当院では日本大腸肛門病学会が指定する講習会を修了した医師のみが施術を担当しますので、ご安心ください。
内痔核に対して、急速に普及しつつある新しい治療法で、痔核の一部を切除し、ALTA硬化療法を追加するというそれぞれの良い点を活かしたハイブリッドな術式です。具体的には、外痔核と内痔核両方がある場合や皮垂を伴う内痔核の場合、ジオン注射の効果が期待できない外痔核や皮垂を切除し、内痔核はジオン注射で治療します。切除による根治性、ALTA療法による痛みや出血の低減が期待でき、当院でも日帰り手術が可能です。
外痔核は炎症や血栓が伴わない場合は手術の対象ではありませんが、血栓ができると激しい痛みを伴います。この場合は局所麻酔(部分的な麻酔)を行い、器質化した血栓を摘出する手術を日帰りで行います。
粉瘤(ふんりゅう)とは、アテロームまたは表皮嚢腫とも呼ばれ、皮膚の内側に袋状の構造物ができ、皮膚から剥げ落ちるはずの垢(角質)や皮脂が袋の中にたまってできた腫瘍の総称です。放置していくと徐々に大きくなり、数cmほどになることもあります。粉瘤が炎症などで破けると膿汁と臭い粥状の固まりを排出します。炎症が長期化することもありますので、内容物を無理に出さずに早めに受診してください。
炎症のない粉瘤を摘出する手術には、「切開法」と「くり抜き法」という2種類の方法があり、いずれも局所麻酔(部分的な麻酔)で行います。
粉瘤がある部分の皮膚を切開し、粉瘤の袋を破らないように丁寧に周囲から剥がし全部取り除く摘出方法です。当院では、第一選択の方法です。
粉瘤に小さな穴を開け、袋の内容物を押し出し、粉瘤の袋がしぼんだ状態できれいに取り出す方法です。詳細はホームページ内のアテローム(粉瘤)日帰り手術の説明および同意書もご参照ください。
CVポートとは中心静脈ポートの一種で、正式には皮下埋め込み型ポートとも呼ばれます。ポートは100円硬貨を4-5枚重ねた程度の大きさの本体と薬剤を注入するチューブ(カテーテル)より構成されています。通常は、鎖骨の下の血管からカテーテルをいれ、右または左の胸の皮膚の下に埋め込みます。カテーテルの先端は心臓近くの太い血管に留置されます。口からの食事が困難な方や栄養管理として持続点滴が必要な方、化学療法・抗がん剤治療が必要な方などさまざまな目的で造設されることがあります。
ポートを皮下に埋め込む辺りを中心に局所麻酔(部分的な麻酔)を行い、カテーテルとポートをレントゲンで位置を確認しながら留置します。傷の大きさはおおよそ3cm未満で、手術時間は30分前後で終了します。手術後は30分ほど院内で休んでいただき、当日からのCVポートの使用も可能です。詳細はホームページ内の中心静脈ポート(CVポート)の説明および同意書もご参照ください。
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