便秘
便秘
便秘とは、本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態をいいます。不必要な便がたまっている状態やいきみに関連した排便困難がある場合、体質・食生活などの生活習慣などが原因となります。大腸刺激系下剤の市販薬やサプリメントを自己判断で常用していると慢性化・悪化させやすいため注意が必要です。
さまざまありますが、以下のものが挙げられます。
食物繊維の不足
野菜や果物、全粒穀物の不足や摂取量の偏りが原因になります。水溶性と不溶性の食物繊維をバランス良く摂取することが大切です。
水分不足
水分摂取を控えすぎると便が硬くなり、大腸内をスムーズに移動できなくなり、便秘になりやすくなります。
運動不足
腸の動きが鈍くなり、便の大腸通過時間が長くなりますし、排便に関わる筋力に影響がでます。
不規則な排便習慣
トイレを我慢する習慣や生活環境、社会的状況は悪影響を及ぼします。
加齢
年齢とともに消化管機能や排便に関わる筋力が低下します。
妊娠
ホルモンバランスの変化や子宮の圧迫により便秘が起こります。
医療麻薬(オピオイド):腸の動きを抑制し、嘔気も引き起こします。
ストレス
精神的な要因が腸の動きに影響を与えることもあります。
ホルモンの変化
甲状腺機能低下症や糖尿病に伴うホルモンバランスの異常。
腸蠕動などの機能に問題がある機能性便秘や疾患による器質性便秘などに細かく分けられます。
最も多いタイプの便秘です。生活習慣やストレス、加齢などの影響を受けて、大腸や直腸・肛門の働きが低下して起こります。
弛緩性便秘
腸管の緊張がゆるんで、腸蠕動が十分行われないため、大腸内に便が長くとどまり、水分が過剰に吸収されるタイプです。頻度が高く、女性や高齢者に多いのが特徴です。おなかが張る、残便感、食欲低下、肩こり、肌荒れ、イライラなどの症状も伴うことがあります。運動不足や水分不足、食物繊維不足、腹筋力の低下、極端なダイエットなど生活習慣の乱れが誘因になることもあります。
けいれん性便秘
副交感神経が過度に緊張してしまい、便がうまく運ばれずに、コロコロとした便が小出しに排泄されるタイプです。残便感とともに、便秘と下痢を交互に繰り返すことが多いです。精神的ストレスや生活環境の変化、過敏性腸症候群(IBS)などが誘因になることもあります。
直腸性便秘
運ばれてきた便が大腸から直腸に入ると、自律神経の働きで便意を催しますが、排便反射が起こらず(便意が無い)、直腸に便が長く停滞してうまく排便が行われないタイプです。高齢者や寝たきり生活の方の他、痔や日常生活内での恥ずかしさなどで排便を我慢する習慣がある人に多いとされます。最近、温水洗浄便座の過度の使用で神経反射の感度が鈍り、便秘になる人が増えているといわれます。
腸管の物理的(器質的)な原因により便の通過障害がおこるものです。大腸がん、腹部手術後の腸管癒着、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)などの原因があります。また、女性に多い直腸の一部が腟に入り込んでしまう直腸瘤や直腸脱も原因になります。まず元の病気を診断・治療することが第一です。
全身疾患に伴うホルモン分泌異常や神経系の異常により腸蠕動が弱くなり、便秘がおこります。全身疾患としては糖尿病や甲状腺疾患、脳血管障害、脊椎損傷、パーキンソン病、自律神経疾患、膠原病など多岐にわたります。
副作用に便秘を発症させるお薬は多種あります。抗うつ薬、抗コリン薬(気管支喘息や前立腺肥大症、パーキンソン病などの治療薬)、咳止めなどは腸蠕動を抑えます。
食物繊維の摂取
野菜や果物、全粒穀物、豆類をバランスよく摂取することが必要です。
水分補給
十分な水分をこまめに摂取することで、大腸内の便の状態を整えることができます。
食事の適正化
食事時間を規則正しく、就寝前の食事は控えることで消化管のぜん動を良好に保ちます。
適度な運動
ウォーキングやストレッチを取り入れることで、効果が出ます。
[文献]Nakaji S, et al. Eur J Nutr 2002. 41: 244-248
排便習慣の是正
トイレにいきたくなったら我慢せずにいく習慣をつけましょう。
ストレス管理
リラクゼーションや趣味を通じてストレスを軽減するように心がけましょう。
整腸剤、緩下剤
便を柔らかくする作用をもつお薬から腸蠕動を促すお薬まで、現在は多種多様なお薬が使用できるようになりました。自己判断での内服をせずに、必ず専門医とご相談ください。
浣腸
肛門付近に便がとどまり、排泄できないときに使用します。使用上の注意点もありますので、スタッフにもご相談ください。
便秘が長期間続く場合や血便、激しい腹痛、体重減少、便が細くなるなどの症状がある場合は大腸がんなどの重大な病気が隠れている場合もありますので、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を含めた適切な検査と治療を受けることが大切です。
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