2025年7月07日
アニサキス症は、寄生虫であるアニサキスが原因となる疾患であり、食材として扱われる魚介類を介して感染することが知られています。胃カメラ検査は、この疾患の診断と治療において重要な役割を果たします。今回は、アニサキス症の特徴、症状、診断法、治療法について説明します。
アニサキス症とは
アニサキスは主に海産魚類に寄生する線虫であり、人間がこれを摂取すると消化管に侵入し、急性の症状を引き起こします。アニサキス症は生魚を食する文化がある日本で多くみられる疾患ですが、世界中で報告されています。

主な原因
アニサキス症は、以下のような魚介類を生または十分に加熱しない状態で摂取することで発生します:
- サバ
- イカ
- アジ
- タラ
- サケ、イクラ
アニサキスの幼虫はこれらの魚に寄生しており、摂取後に人間の消化管に侵入することが原因となります。
症状
アニサキス症の症状は急性アレルギー反応で、一般的に摂取後数時間以内に発生します。主な症状には以下が含まれます:
- 胃痛
- 悪心・嘔吐
- 下痢
- 発熱(稀ではあります)
アニサキスが胃や腸壁に侵入すると、激しい刺痛を伴うことが多く、場合によっては急性腹症として扱われることがあります。
胃カメラ検査の重要性
胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)は、アニサキス症の診断と治療において最も効果的な方法です。この検査は、アニサキス幼虫が胃壁に侵入しているかを直接確認することを可能にし、速やかな治療につながります。
胃カメラ検査の利点
内視鏡を用いた診断と治療には以下の利点があります:
- 迅速性:直接的に原因を確認し、その場で治療(摘出)が可能です。
- 痛みの軽減:寄生虫を摘出することにより、痛みを速やかに改善させます。

予防策
アニサキス症を予防するためには、魚介類の適切な調理が不可欠です。以下の予防策が推奨されます:
- 魚介類を摂取する際には十分に加熱する(70℃以上)。
- 冷凍処理(-20℃以下で24時間以上が推奨されています)。
- 刺身や寿司など生魚を食べる際は、新鮮で信頼性の高い商品を選択しましょう。
まとめ
アニサキス症は適切な診断と治療が行われると速やかに改善される疾患です。胃カメラ検査は、この疾患において非常に重要な役割を果たしており、正確な診断と迅速な治療を可能にします。また、魚介類の適切な調理と保存に留意することで、予防することは十分に可能です。健康的な食生活を維持するためにも、アニサキス症についての知識を深め、楽しい食生活を送りましょう。
当院では、上記の症状がみられた際、当日検査に対応しております。お気軽にお問い合わせください。
たむら内科・消化器内視鏡クリニック
田村耕一