年齢で「がんの遺伝子」は変わるの?|池田市の内科・消化器内科(内視鏡)・肛門外科|たむら内科・消化器内視鏡クリニック

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年齢で「がんの遺伝子」は変わるの?

年齢で「がんの遺伝子」は変わるの?|池田市の内科・消化器内科(内視鏡)・肛門外科|たむら内科・消化器内視鏡クリニック

2026年10月23日

再発・治療抵抗性の卵巣がん・乳がん・大腸がんを調べたNCI-MATCH研究1)から

Overview:18~39歳の若い世代と40歳以上を比べても、がん遺伝子の「点の変化(変異)」の全体像に大きな違いは見つかりませんでした。一方で、年齢を連続した数字として詳しく見ると、一部の遺伝子変化が年齢と関連していました。ただし、年齢だけで治療を決める根拠にはなりません。

この研究は何を調べたの?

米国のNCI-MATCH試験に参加した、標準治療後に再発した、または治療が効きにくかった患者さんの腫瘍を調べました。対象は卵巣がん455人、乳がん576人、大腸がん759人で、腫瘍の143遺伝子を次世代シーケンサーという医療機器で解析しました。

遺伝子パネル検査の流れ:腫瘍の一部を調べ、遺伝子の変化を一覧にし、病状・体調・過去の治療と合わせて専門診療チームが治療の候補を検討します。

わかったこと

卵巣がん

卵巣がんでは、TP53変異とCCNE1増幅が、年齢が高い患者さんほど多い傾向を示しました。ただし、18~39歳と40歳以上の二つのグループを比べたときに、遺伝子変異全体が大きく異なるという結果ではありません。つまり、年齢に関連する集団としての傾向はみられましたが、若い人と高年齢の人で卵巣がんがまったく別の病気だと示したものではありません。

乳がん

乳がんでは、CDH1変異とPIK3CA変異が年齢の高い患者さんほど多く、CCND1増幅は若い患者さんほど多い傾向でした。特にCCND1増幅は、18~39歳のグループでより多くみられました。ただし、これらは集団における関連であり、年齢だけから個々の患者さんの遺伝子変化を予測できるわけではありません。

大腸がん

大腸がんでは、年齢との関連が性別によって異なる可能性が示されました。女性ではBRAF変異が年齢の高い患者さんほど多く、男性ではSMAD4変異が若い患者さんほど多い傾向でした。この解析は探索的なものであるため、治療判断に直接結び付けるのではなく、今後の研究で確認が必要な結果として慎重に受け止めることが大切です。

結果を考える上での注意点

  • 「関連がある」=原因とは限りません。 年齢そのものが遺伝子変化を起こしたと証明した研究ではありません。
  • 集団の傾向は、個人の結果を決めません。 同じ年齢でも、がんの特徴は一人ひとり異なります。
  • この研究の若年患者は少数です。 18~39歳は、卵巣がん21人、乳がん27人、大腸がん43人でした。
  • 対象は再発・治療抵抗性がんです。 初めて診断された患者さんに、そのまま当てはまるとは限りません。
  • 検査は腫瘍の143遺伝子が中心です。 遺伝性の体質を調べる生殖細胞系列検査とは目的が異なります。

治療にはどう関係する?

この研究は、若い患者さんだけに別の治療を勧めるべきだ、という結論ではありません。治療は、遺伝子変化だけでなく、がんの種類・広がり・これまでの治療・体調・希望・検査薬や治療薬の承認状況を総合して決めます。検査結果に治療標的となりうる変化があっても、必ずその薬が使える、または効くという意味ではありません。

主治医に聞いてみたい5つのこと

  1. 私のがんでは遺伝子パネル検査が役立つ可能性がありますか?
  2. 検査は腫瘍の変化と遺伝性の体質のどちらを調べますか?
  3. 結果が治療選択に結び付く可能性はどのくらいですか?
  4. 検査で偶然、遺伝性が疑われた場合はどうなりますか?
  5. 臨床試験や遺伝カウンセリングを検討できますか?

まとめ

若年者と高年齢者で、がんの遺伝子変異全体が大きく異なるわけではありませんでした。ただし、卵巣がん・乳がん・大腸がんの一部の遺伝子変化は年齢や性別と関連しました。結果は将来の研究には重要ですが、今の診療では「年齢だけ」ではなく、患者さん自身の検査結果と病状をもとに治療を考えることが大切です。

院長は長年にわたり消化器がんを中心にがん診療に従事してきましたので、ご本人のこと、ご家族のことでも構いませんからお気軽にお問い合わせください。

出典

  1. JCO Precis Oncol 10: e2501183, DOI https://doi.org/10.1200/PO-25-01183.

この記事を監修した医師

たむら内科・消化器内視鏡クリニック院長

田村 耕一

和歌山県立医科大学医学部卒業。同大学附属病院をはじめ、関連基幹病院にて勤務し、消化器外科手術や消化器内視鏡検査、抗がん剤治療などに精通している。また、筆頭著者として多数の英語論文の執筆歴があり、消化器がんの早期診断と治療を含めた啓発活動にも重要性を見出だしている。2024年11月より大阪府池田市でたむら内科・消化器内視鏡クリニック院長として北摂を中心とした地域医療と内視鏡検査の普及にも注力している。

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