2025年11月21日
はじめに
2025年11月19日にがんの「5年生存率」に関する最新データ1)が公開されました。これは、がん診断を受けた患者が5年間生存する確率を示す重要な指標であり、治療効果や医療技術の進歩、予防・早期発見の状況を反映しています。
5年生存率とは
5年生存率は、がん患者が診断後5年間生存している割合を示す統計値です。この指標は、がんの種類や進行度、治療法の選択によって大きく異なります。高い生存率は手術や薬物治療の進歩とがん検診などの早期発見の成果を反映し、生存率が低い場合は診断や治療について、課題や改善の余地があることが示唆されます。
最新データの特徴
今回公開された最新データでは、主要ながん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がんなど)の5年生存率が更新されました。多くのがん種で生存率が向上傾向にあり、特に早期発見や治療法の進化が寄与していると考えられます。しかしながら、未だに生存率の低いがん(早期発見が困難である、難治性である、再発や転移を来たすことが多いなど)も存在しています。
- 大腸がんや胃がんでは、内視鏡検査の受検する機会が増えつつあることや早期発見と治療技術の発展により生存率が上昇しています。
- 乳がんや前立腺がんでは、早期発見(主にがん検診の普及と受検率の向上)と適切な治療(手術治療・薬物治療・ホルモン療法)により高い5年生存率が維持されています。
- 一方、膵臓がんや肝臓がんなど一部のがんでは依然として低い生存率ですが、治療法の進歩や早期発見の機会の増加により改善が期待されます。

データが示す医療の進歩
5年生存率の向上は、医療技術の発展、がん検診体制の充実と啓蒙活動、患者・家族へのサポート体制の拡充などの複数の要素が関与しています。また、「がん遺伝子パネル検査」をはじめとするがん個別化医療や抗体薬や免疫に関与する新薬の登場も生存率向上に繋がっているとされています。
患者・家族へのメッセージ
最新データの公開は、がん患者やその家族にとって希望となる情報です。治療法の選択肢が拡がり、生存率の向上が見込まれるとは言え、定期的ながん検診の受検や早期発見に繋がる専門医への受診の重要性があらためて強調されています。些細なことで構いませんから、消化器がん治療に長年精通した院長にお気軽にお問い合わせください。
- 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)
たむら内科・消化器内視鏡クリニック
田村耕一
