生活習慣病
生活習慣病
生活習慣病とは、食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称です。日本人の死因の上位を占めるがんや心臓病、脳卒中は、生活習慣病に含まれます。これらは自覚症状がほとんどないため、知らないうちに進行し、身体にダメージを与え、命に関わる重篤な疾患を引き起こします。
当院は、産業医資格をもつ院長が健康診断の実施や結果への対応、それぞれの疾患に対する指導・処方・経過観察を行います。健康診断は早期発見に有用ですが、検査値の異常や症状がある、不安がある方も、お気軽にお問い合わせください。糖尿病や心臓病、脳卒中の悪化がみられる方には連携機関との調整を速やかに行いますのでご安心ください。
高血圧は上の血圧が140mmHgの場合、または下の血圧が90mmHg以上の場合、あるいはこの両方を満たす場合を指します。高血圧は日本で最も多い病気で、4500万人に近い患者さんがいると推計されます。放置してしまうと、動脈硬化が進行し脳卒中や心臓病、腎臓病などの重大な病気になる危険が高まります。自分が高血圧か知らない人、知っていても治療していない人もかなり含まれますので、注意が必要です。日本人の高血圧の約8~9割が原因を一つに定められない本態性高血圧で、遺伝的素因(体質)や食塩の過剰摂取、肥満、過度の飲酒、喫煙、運動不足、精神的なストレスなどさまざまな要因が組み合わさって起こります。自覚症状に乏しく、知らず知らずのうちに動脈硬化から心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓病、脳出血・脳梗塞といった脳卒中の原因になります。早朝の頭痛や夜間の頻尿、呼吸困難、めまい、足の冷えなどを認める方は注意が必要です。まずは、決まった時間に血圧を測定してご自身の血圧を管理しましょう。継続的な生活習慣の改善が予防と治療に有効です。
分類 | 診察室血圧(mmHg) | 家庭内血圧(mmHg) | ||
---|---|---|---|---|
収縮期血圧 | 拡張期血圧 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |
正常血圧 | <120 かつ <80 | <115 かつ <75 | ||
正常高値血圧 | 120~129 かつ <80 | 115~124 かつ <75 | ||
高値血圧 | 130~139 かつ ⁄ または 80~89 | 125~134 かつ ⁄ または 75~84 | ||
Ⅰ度高血圧 | 140~159 かつ ⁄ または 90~99 | 135~144 かつ ⁄ または 85~89 | ||
Ⅱ度高血圧 | 160~179 かつ ⁄ または 100~109 | 145~159 かつ ⁄ または 90~99 | ||
Ⅲ度高血圧 | ≧180 かつ ⁄ または ≧110 | ≧160 かつ ⁄ または ≧100 | ||
(孤立性)収縮期高血圧 | ≧140 かつ <90 | ≧135 かつ <85 |
糖尿病とは膵臓から分泌され、血液中のブドウ糖が細胞内に取り込まれるのを助ける役目を果たすインスリンというホルモンが欠乏する(1型糖尿病)、またはうまく働かない(2型糖尿病)ことで血糖値が高くなる状態をいいます。日本人で生活習慣病の一つとされているのが2型糖尿病で、糖尿病が進行すると、神経障害、網膜症、腎症などの合併症を引き起こすことがあります。発症にはインスリンの分泌不足・機能不全といった要因に加え、過食、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣が関係しています。症状は目立った症状が当初は現れにくく、口渇(のどが渇く)や多飲(水分を多く摂る)、多尿(尿量が増える)、体重減少といった症状が現れたら、かなり進行していることもあります。糖尿病の発症予防(1次予防)、血糖コントロール(2次予防)あるいは進行を遅らせる(3次予防)ための生活習慣の見直しと適切なお薬の選択が大切です。
当院の糖尿病診断は、症状の有無や血糖値ア)、HbA1c値イ)などを総合的に判断します。
脂質異常症とは血液中の「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールや中性脂肪が増えたり、「善玉」と呼ばれるHDLコレステロールが減った状態、つまり血液中に溶けている脂質のどれかが正常値の範囲にない状態をいいます。主だった自覚症状はありませんが、放置していると知らず知らずのうちに動脈硬化の進行を促し、脳梗塞や心筋梗塞といった重大な病気を招くリスクが高まります。食生活や運動不足・肥満、喫煙、飲酒、ストレスなどが関係していて、家族性のものもあります。治療は食事療法や運動療法などの生活習慣の改善からはじめ、脂質管理の目標値が達成できない、持病の危険因子があり、動脈硬化のリスクが高い場合は薬物療法を提案します。最近は脂質異常症の治療薬の選択肢が増えましたから、患者さんに合ったお薬を内服しましょう。
高尿酸血症とは、身体の新陳代謝の老廃物である「尿酸」が増え過ぎている状態です。尿酸コントロールには「6-7-8のルール」があり、尿酸値が7mg/dl以上になると高尿酸血症と診断され、9mg/dl以上もしくは8mg/dl以上で合併症(腎障害・高血圧・糖尿病・肥満など)を伴うものについては薬物療法を含む治療が望まれます。お薬治療をしている場合、6mg/dl以下にコントロールします。尿酸値が高い状態が続くと、尿酸の結晶が関節に炎症を起こします。これを痛風といい、「風が当っただけで痛い」と表現されるほどの激痛が発作的に起こる関節炎です。主に足の親指の付け根付近に生じ、多くは30〜50代の男性で、女性が痛風になることはめったにありません。痛風発作は消炎鎮痛剤などの治療で、1週間ほどで速やかに落ち着きますが、尿酸値のコントロールを放置すると関節炎による結節ができ、腎機能障害や尿路結石のリスクが高まります。原因となる生活習慣の確認と運動や食生活の改善、そして尿酸値の正常化の維持が大切です。
TOP